2015年3月5日木曜日

専門家と非専門家


地域医療を育てる会の読書会でこのテーマを頂いてからずーっと考えていました。また多職種・他職種連携では常に出てくるキーワードだからです。やっと言語化されたのでブログにアップします。

言葉だけでみていくと、まず医師中心でのチーム医療だと他職種になるのかな?
しかし本当のチーム医療になっていくと他職種から多職種になるのかなと思います。
これは主語は医師から患者中心の医療いわれていくとこうなるのは自然の流れなのかもしれません。

次に専門家ということを考えてみましょう。
専門家とは何でしょうか。私の理解では、その道のプロフェショナルです。
その次に専門職とはその道を職業(生業)としている人です。本来似ていて非なるものだと思います。

なぜならばプロフェッショナルとノンプロフェッショナルとの間には「こだわり」があるからです。
「こだわり」がその道に対する真摯な態度や想いが決定的な違いとなって出てくるからです。
その「こだわり」が受け手の信頼に変わっていきます。この違いが分かりにくく暫し混同しがちなところだと思います。

人がある職業に求める信頼は知識や技術・スキル面の信用と同時に人としての信用が相乗的にその職業の人への要求になります。
つまりこの話を前提に職業としての専門職とはその仕事を生業にしているだけですので全くちがうものと考えます。

ここから資格制度や信頼の話へと多くのことが広がっていきますが、今回は身近なところに戻して話をすすめようと思います。

私が様々なところで見てきた医療現場や相談の場において、聞こえてくることを以下に列挙します。
(非専門家)
・専門家(特に医師)の言っていることはよくわからない
・敷居が高くて何が話したらいいかわからない。相談できない。
・自分の言いたいことが伝わらなかった
(専門家)
・非専門家(患者)のことを一生懸命考えているがとにかく忙しい
・なんでこんなにクレームを上げてくるんだ?
・モンスターペイシェントが最近増えている
・ちゃんと言うとおりに薬を飲んでくれない

私はこれは完全にコミュニケーションが取れていない状況だと思っています。

つまり、専門職と非専門職の間にはコミュニケーションを阻むものが存在しそれが邪魔しているのだと思います。
そのコミュニケーションを阻むものとは、1)言葉、2)環境、3)信頼だと考えます。

やはり一番は言葉です。専門家は専門家の言葉を使ってコミュニケーションをとります。それはその方が仕事のスピードが格段に向上するからです。

次に環境です。環境とはコミュニケーションをとる相手と自分の置かれている環境の違いです。
相手の環境が分かると同じ景色が見えます。しかし、その景色が分からなければ言葉が理解できないのと同じです。

この二つは外国人と話をしているとよく感じることです。私の英語はそれほどうまくありませんが何とかコミュニケーションは取れているようです。自分では英語がすらすらでてくるほうではないので、本当に私の言いたいことは伝わっているのかな?って常に思いますが、意外と伝わっているようです。
なぜそんな現象がおこるかというと、私はひたすらわからないことはわからないといい、その説明を絵も使うし、言い換えをたくさんするからです。そして最後に外国人から「これってこういうこと?」と聞かれたり、「これは英語の表現ではこういうんだよ」って教えてもらって納得することが非常に多いです。(ただし真面目にレッスンに行っていないのでなかなか上達しません)

これを先ほどの1)言葉、2)環境、3)信頼で説明をすると、1)私は英語は得意ではありません2)私は日本人なので英語圏で育っていませんのでコミュニケーションをとろうと思っても相手の言っている様子がわかりません。ですがここは日本なので日本国内のことなら共通の話題があります3)ここは英会話スクールなので最後まで嫌がらず教えてくれる講師と話をしています。

だからコミュニケーションがとれるのです。

これを専門家と非専門家に当てはめてみると、1)非専門家は専門家の言葉はわかりません2)一緒に住んでいないし、同じ体験(病気になるなどを含む)をしていなので相手のことが理解できません3)どこのどなたかわかりません。目の前にいるけど貴方は誰?となるのではないでしょうか。

だんだん見えてきたと思います。
つまり、3つの努力が必要になるということだと私は考えます。一つは非専門家が言葉を理解する努力二つめは相手の体験や経験などを理解する努力、そして3つめはお互いを信頼する努力です。

いまは1つ目と2つ目の取組は始まっていると思います。

実は一番難しいのは3つ目ではないでしょうか。これが今後の大きなテーマだと私は思っています。