2017年7月26日水曜日

真っ暗闇の世界


ダイアローグ・イン・ザ・ダークに行ってきました。今回はファイナルバージョンでタイトルは「出発」でした。
http://www.dialoginthedark.com/

暗闇の中を8人のグループで進みます。はじめに白杖を渡され、少しずつ暗闇の世界にいきます。目を開けていても何も見えません。遠くから聞こえる音、匂い、触感を感じます。

なんだか暗闇は不思議な感覚です。ただ足元だけは転んだりするのが怖いので慎重になりますが、暗闇自体はむしろ私にとっては心地よく感じました。これも人によって感覚は違うと思います。視覚障がいの中でも全盲(全く見えない人)の世界はこんな感じなのかもしれません。

今回のテーマは「出発」でした。ファイナルバージョンなのに、なんで「出発」なんだろう・・・そんなことを考えていました。きっと終わりは始まりであり、旅立ちなんでしょうね。そして過去からの決別、解放と自由なんだろうと勝手に思っていました。でもあのアトラクションとどう関係するのかな。まあ、そこはそれこそ自由に想像しようと思いました。

見えない世界は想像や空想の世界。ここには何があるのかな?これはどんなものなのかな?常にそんなことを考えていました。でも目が見えていても見えていないものがあります。視覚情報以外の感覚で声と誰がどの辺にいて、その遠近などからでもかなりのことができます。一度脱いた靴が暗闇の中でちゃんと自分の靴がはけたのは本当に驚きました。

「今、私が見ているものはなあに?」「今、私はどこにいるの?」

暗闇の世界から出てもしばらく色々と考えています。ずっと考えているのは「時間」です。自分ではまだそんなに時間が経っていると思っていなかったのですが、もう80分経っていますよと言われ本当に驚きました。まだその半分くらいかと思っていたのですが、、、

時計がなければ時間はわからない。人間にわかるものは太陽が登って日が沈む。夏と冬とは昼と夜の時間も違う。時計や暦を作ったのは人間。生活の中で必要だったにすぎないのだけど、それに縛られているのも人間。「時間」という概念は人間が作り出しているということが実感できました。

視覚情報がないということは、見られないけど見られているということもない。それって私にとっては本当に気楽でした。見えるというのは見たくないものまで見えます。そして見られたくないものも見られてしまう。見えるというのは、私にとって疲れることです。そこから短い時間でしたが解放されたのはよかったです。

きっと飽きると思うけど、私は真っ暗闇で自然に聞こえる音に埋もれたいです。

2017年7月23日日曜日

専門医制度のゆくえ


地域医療研究会主催の「日本の専門医制度の行方と問題点」を聞きにいってきました。


新専門医制度の議論の流れや問題点が議論を通してよくわかりました。かなり突っ込んだことも聞けましたので非常に有意義な時間でした。

新専門医制度は、これまでの専門医制度がピンからキリまである学会が独自に認定してる専門医が必ずしも質を表している訳ではないというところからスタートしています。そして中立的な第三者期間(専門医機構)を作り質を担保することが目的だったはずが、いつのまにか新しいプログラムは医師の偏在を助長するとか地域医療を崩壊させるなどといった意見が出てきて、平成30年に本当にスタートできるのか非常に疑問である状況です。

この話は、地域医療だけの話ではなく、医師のキャリア形成や働き方、女性の医師への配慮なども絡んでおり、非常にわかりにくい議論になっていると思います。さらによく聞いていると学会同士でのコンセンサスや医局派遣と医師の雇用、果ては医師職員の身分に関する行政の無知だったりもあり専門医を取りたい現場で働く医師にとって色々と混乱を招いています。

もっとも問題だと思うのが、「国民の視点に立った上で、育成される側のキャリア形成支援の視点も重視して構築」と基本的な考え方にあるのに全く普通の国民が理解できないという現状です。現在2名の患者代表が入っていますが、それでも本当に国民が望んでいる専門医制度なのかというとあまりそう見えません。

多分、専門医がスーパードクターの証なのか、単にトレーニングを受けた証なのかが国民がわからないところが一番気持ち悪いところなのだと思います。スーパードクターとしての証ならそんなに数は要らず、上限を作るくらい厳しくないと意味がないです。地域医療を考えるなら間違いなく総合診療医がもっと必要だと思いますし、専門医という証が地域の開業医となった時に本当に必要なものなのか正直いって疑問です。むしろ専門医を取りたいという医師が多いことから逆に医師の育成期間を長くしてしまい、結果として本当に必要な医療が充足されなくなる危険はないのかと心配になります。

まだまだ各団体の意見調整や専門医機構の体制作りは難航しそうですが、少しでもいい専門医制度になることを願って止みません。

東千葉メディカルセンターに行ってきました

高松で行われたプライマリ・ケア連合学会で知り合ったご縁で、総合内科の金井貴夫先生に会いに東千葉メディカルセンターにお邪魔してきました。http://www.tkmedical.jp/


正式には「地方独立行政法人 東金九十九里地域医療センター 東千葉メディカルセンター」と言います。

平成26年4月にオープンしたばかりの病院です。東金ICから約5分の小高い場所にあり、夜は 何もなくて真っ暗なところにあります。


病院は3次救急を担う急性期病院で、災害拠点病院ともなっている救急に重点を置いています。まず入って驚いたのが一階フロアがとにかく広い。


そして吹き抜けになって2階に外来があります。



完全に災害時を念頭に置いたレイアウトだと感じました。
ヘリポートもあります。実際にきたところは見れませんでしたが、写真だけ見せていただきました。(写真を金井先生にいただきました♪)





ヘリポートからの入り口です。
1階は救命センター、オペ室、検査があり、救命に入ってきた患者がスムーズに診断〜治療の流れになるような動線になっています。


今回お話を伺った金井先生はこの病院に移動して約1年半とのことです。


色々とざっくばらんにお話をしていただきました。思った以上にこの地区は医療が市民に届いていないと感じました。これは病院が悪いとかではなく、ある資源をうまく活用できていないということもありますが、市民側の誤解もあるし、在宅医療をしている医師が明らかに少なかったりしています。医師と患者の距離も遠く、身近な医療の相談相手としての「かかりつけ医」という存在が希薄であるということも大きな問題です。

救急でこの病院にくる患者さんは、決してコンビニ受診している訳ではなく、本当にどうしようもなくなって診察をしてみたらかなり重症になってしまっているケースも多々あるそうです。またこの地区は健康診断の受診率も低く、早めに治療を開始するということができていないということもあるそうです。この東金・山武地区は一次産業が多いというのも特徴で都会に比較的近い割には都会とは患者の受診行動やニーズがかなり違っています。

金井先生以外に総合内科はあと1名と非常勤のかたで診ているそうです。病棟と外来を掛け持ちで2名は大変そうです。課題も多く、やることが幅広いのですが、それでも「とてもとてもやりがいがある」とおっしゃっていました。

今後の医療制度改革にあたり、この東千葉メディカルが担う三次救急と地域に貢献する病院としてのあり方というものどうやっていくのが良いのかはまだまだ手探りの状態だと思います。着実に必要な医療を提供しようと、連携室や退院支援、今後は在宅なども視野に入れているそうですがスタッフ不足ということありもう少し時間がかかりそうです。それでも着実に実績を積み重ねていらっしゃる様子がよくわかりました。

またお邪魔したいと思います。ありがとうございました。

2017年7月21日金曜日

医薬品のROI


ほぼ毎月開催しているNPO医桜が主催している「地域包括ケアをしっかり勉強する会」の第14回は地域包括ケアと医療経済でした。講師は五十嵐 中先生(東京大学大学院薬学系研究科・薬学部 准教授)でした。

地域包括ケアで何故に医療経済?という疑問はさておき、個人的には医薬品の研究開発に興味があるので医薬品の経済効果の話はとても面白く聞かせていただきました。

最近はハーボニーやオプジーボ、レパーサと言った高額な医薬品が販売されています。これらは当然保険適応になっているですが、あまりの高額なため薬剤費の高騰が心配されています。医薬品の価格は同種薬効がない新薬の場合は製造原価や海外の価格が参照され、決定されています。ここ最近の医薬品の製造原価が高いのはバイオ製品である故に開発コストや製造コストが高額であることも原因となっています。いくら画期的な医薬品であってもその価格に見合う臨床効果があるのか?という考え方を持たないと、医療費はどこまでも増えてしまいます。

今回質の評価でQALYs(質調整生存年:Quality-adjusted life year)で検討するという方法の話がありました。生存年齢と生活の質(QOL)の双方を考慮する指標です。1QALYは完全に健康な1年間に相当する。もしある人の健康が完全ではないならば、その1年間は1以下のQALYとして算定され、死亡すれば0QALYと算定されます。

製薬企業から見ると少しでも少しでも高い薬価がつくようにしたいというのは当然です。特に医薬品の開発は長い期間と高いコストがかかります。しかも開発の成功率も低い、ある意味ギャンブルのようなものです。さらに特許が切れれば後発品に切り替わることを考えれば当然の考えになります。ただ、正直にいうと今の日本の製薬会社がどこまで費用対効果の良い医薬品を出せるのか疑問に思っています。

今回のお話を聞いて思ったことは、なんでもかんでも保険適応という時代ではないのだと改めて思いました。この評価については私は専門外なので何も言えませんが、患者にとっていいというだけではなく、そのかける費用に見合う価値を提供するという考えになっていく方向が完全に見えてきています。

地域包括ケアという視点で考えるとケアに関する費用対効果の研究はまだまだこれからのようですが、きっと同様にそういう考えがどんどん入ってくるのでしょうね。

2017年7月15日土曜日

ヘルスケアシステムを紐解くワークショップ 第2回


ビジネスモデルイノベーション協会ヘルスケア分科会主催のヘルスケアシステムを紐解くワークショップの第二回を実施しました。今回は医療・介護業界のパラダイムシフト〜システム疲労 がテーマでした。お話した内容としては健康格差と地域包括ケアと地域医療計画です。

本当に一つの話だけでもかなり話すことがあるのですが、概論的に話をするのは大変です。でも話をすることで自分の頭の整理にもなりました。

健康って概念的で、何を持って健康を表すのかということはとても大事なことです。そして人の健康は何によって影響しているのかということがわかっていると、今回はほとんどお話できませんでしたが、プライマリ・ケアの重要性について府落ちしやすいのではないかと思っています。

その健康が地域によって差があるという事実が紛れもなくあり、その地域差を地域包括ケアシステムでどうにかしようとしているのでそりゃ大変よねーということを話しました。

もっとテーマを絞って議論もしたいとこですが、それは今後どこかでお話する場をどこかで作りたいと思っています。

第3回は8月8日です。「ヘルスケア業界の未来に向けて 〜2035年からみた2018年改定」ということで、2035年からバックキャスティング的に考えることをしてみたいと思います。


2017年7月3日月曜日

ボッチャ初体験

先日、障がい者に対する運動指導の研修会を受講してきました。身体障がい、精神障がい(発達障がい、精神障がい)それぞれの特徴と関わり方など短い時間でしたがとても勉強になりました。

運動はどの人にとっても楽しみであり、社会参加の一つです。「運動なんて嫌い」という人の多くは学校体育が嫌いなのであって、身体的活動そのものや他人との交流が嫌いという人はほとんどいないと思います。できないことと嫌いはイコールではありません。それは障がいをもつ人であっても同じです。障がい者の運動は楽しみながらリハビリもできるところにあります。ボールを拾う、投げる、車椅子でも姿勢を維持する。こういったことが人とワイワイと話しながらできます。人と関わることの素晴らしさはどんな人であっても享受すべきものだと私は考えます。

しかし障がいをもつ人が健常者と一緒に何かをしようとするとハンディキャップがあります。そのハンディキャップがあったとしても今回体験したボッチャは一緒にゲームを楽しむことができるスポーツでした。ボッチャは、ヨーロッパで生まれた重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたものです。

ゲームのルールは簡単です。
ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競います。
障害によりボールを投げることができなくても、勾配具(ランプ)を使い、自分の意思を介助者に伝えることができれば参加できます。

的に当てるというのはカーリングにも似ていますが、的のジャックボールが動くのでおはじきのような楽しさもあります。激しい動きや身体接触もなく、大人から子供まで楽しめます。

ボッチャはパラリンピックの正式種目で、競技は男女の区別のないクラスに別れて行われ、個人戦と団体戦(2対2のペア戦と3対3のチーム戦)があります。
この画像だとものすごく真剣な画像ですが、本当に和気あいあいで「勝った」「負けた」と言いながら同じ時を楽しめました。


日本ボッチャ協会
http://japan-boccia.net/

気軽にやれるのにやれるところを知らない。またボールの値段が高い。。。
もっと気軽にできるようになるといいと思います。