2017年5月30日火曜日

20世紀の幻影



つくば科学・技術産業イニシアティブに参加して来ました。
テーマは「20世紀は極端な世紀であった、世界は2050年に向けてどのように進んで行くか?〜100年長寿企業から学ぶ」です。

20世紀の世界を振り返り、人口は3倍に増え、平均寿命は2倍にのび、GDPは17倍、地球の温度は0.6度上昇、世界大戦は2回もありました。
21世紀になり今もどんどん変化しています。

産業の未来はどうなるのか?ということを電気通信大学の千野俊猛先生にお話いただきました。改めて今の日本がどのようなところにいるのかということを考えることができました。

細かい話は割愛しますが、なんだか今の様々な問題はあまりにも大きな変化を経験して来たためにその幻影をまだ世の中に見てしまっているのではないかと感じました。多くの国では食べ物や着る物に困るということはほとんどありません。病気も感染症に対してはワクチンや抗生剤の登場で感染症の死亡率を大幅に下げることができました。人間はどんどん豊かになって代わりの問題が出てきています。時代は時代としてそもそもの価値観自体が変わらないと解決できないことが沢山あるのではないでしょうか。

冷静に世の中を見ていきたいと思っています。

2017年5月20日土曜日

78カンファレンス「生き方」と「逝き方」



東京医療センターで行われた78カンファレンスに参加しました。

78カンファレンスは東京医療センターの総合内科とそこに勤めたことのある医師で始めた勉強会で、世田谷・目黒周辺の環7と環8の間に囲まれたエリアの病院・診療所のスタッフ対象で行われています。

今回はアドバンス・ケア・プランニングがテーマでタイトルが「生き方」と「逝き方」でした。ワールドカフェスタイルで「あなたが不治の病と宣告されたらどうしますか」を話しながら交流とテーマの理解を深めていきました。

死生観に関するワークショップは何回か出ているのですが、対象が違うと話される内容もトーンも違うのことがとても興味深かったです。思ったよりも死をすんなり受け入れて残された時間をどう使うかと言う話が多かったのと、具体的な身辺整理の話はあまり聞かれなかった印象でした。今回は参加者の年齢も若く、医療者ばかりということの影響が大きかったのかもしれません。

「人間は必ずいつか死ぬ」当たり前のことなのですが、忘れがちなことです。「死」とは現世の自分がこの世とお別れをする瞬間です。その瞬間を意味付けするのは現世の自分です。今回の問いは死と言いつつも実は「今」の自分を見ているのだと思います。

私が出したものは「(興味のままに)毎日違うところに行きたい、家に帰らずフラフラ旅に出たい、決まった仕事はしない」でした。半分くらい今でもやっていることですね(汗)自分を分析すると「自由」が上位価値にあるということがよくわかります。

「死」の捉え方と残された時間で「行動に見られる本人の希望」から、その人の現在の心理が見えるかもしれないと勝手に考えています。

三鷹と嚥下と栄養を考える会の中で死生観をダイアローグした時のブログです。こちらはケアと言うことから死を考えている人たちの集団です。普段は食べると言うことから生きるを考えています。

「看取る」ということについて
こちらはみんくるカフェです。

この時も似たようなことを考えていたな、と感じました。
市民主体で行うアドバンス・ケア・プランニングをもう少し深めて考えて行く必要も同時に思いました。

2017年5月15日月曜日

プライマリ・ケア連合学会③「利益相反」



利益相反とはある行為により一方の利益になると同時に他方への不利益になることです。

わかりやすく言うと、依頼者からの業務依頼があった場合、中立の立場で仕事を行わなければならない者が、自己や第三者の利益を図り、依頼者の利益を損なう行為のことです。医療者と製薬企業の利益相反とは医療者と製薬企業が関係を持つことで患者への不利益が起こることです。その関係を不適切な関係と言います。

今回のポスター発表は昨年実施した「「医療者と製薬企業の対等な付き合い方」〜総合診療医と元MRがホンネで語る製薬企業のプロモーションの未来〜」の実施報告を行いました。

ここで対等な付き合い方というタイトルにした理由は、医薬品が医療に使われないことはあり得ず、関係をゼロにすることは非現実的であると思っています。しかし不適切な関係の持ち方をすると患者の利益を損ねます。そのいい塩梅を考え続けることが大事なことだと思っているからです。

最近の話題でいうとディオバン事件、イグザレルト事件がありますが、製薬企業と医師との不適切な関係で問題になったことは度々あります。それをいろんな立場と視点で振り返りをしないと関係改善にはならないと思います。

製薬企業のMRも患者のためや医療に貢献したくて仕事をしています。そこで目先の売り上げ目標があるとそこに引っ張られてしまいます。また医療者も自分たちが客であるから偉いと思っている人や製薬企業から見返りをもらうことに慣れてしまっている人もいます。

その関係、適切ですか? 見て見ぬふりをしていませんか? 黙認は同罪です。

なかなかこの話題はいろんな立場があるので触れるのは難しく、このような発表をさせていただいたのもほんの小さな一歩です。患者さんにとって最善とは何かということを考えて仕事をしているので、私はその立場で意見を今後も言っていきたいと思います。

プライマリ・ケア連合学会②「地域ケア」



次に参加したシンポジウムはこちらです。

みんなでつくろう地域ケアレシピ集・第3弾~レシピを活用しよう~(地域ケア事例集作成 WG 企画)
         座長:佐藤 元美(一関市国民健康保険藤沢病院)
座長・コーディネーター:井階 友貴(福井大学医学部地域プライマリケア講座/高浜町国民健康保険和田診療所)
      企画責任者:井階 友貴(福井大学医学部地域プライマリケア講座/高浜町国民健康保険和田診療所)

中山間地の小規模病院の存続から考える「地域医療」
            由井 和也(JA 長野厚生連佐久総合病院付属小海診療所)
さらべつほーぷ ~ 地域の子どもたちに対するライフスキル教育の取り組み ~
            山田 康介(更別村国民健康保険診療所(北海道家庭医療学センター))
都会の住宅地における地域ケアの試み : その課題と展望
            松村 真司(松村医院)


ここでは地域ケアの中山間部、僻地、都会によって共通する部分、異なる部分をそれぞれのシンポジストの取り組みから学ぶという趣旨です。この3つとも非常に興味深かったです。

中山間部での医療について医療が不足しているといった問題があります。しかし医療はどこに行っても必ず必要なものであるが、医療単独で成立するものではない。地域の衰勢と切っても切れない関係にあるというのはまさにその通りです。少子高齢化、人口減少により労働力の低下。すでに中山間地域はそこで働いている人のうち医療・介護職が閉める割合が高くなっています。そこに医療職ばかりを増やしてもあまり意味はなく、そこで暮らし続けることと新たに人材の交流も含めて考えて行く必要があります。

また、さらべつホープの取り組みも興味深かったです。小学校でライフスキル教育を実施した事例をお話いただきました。この事例の素晴らしいところは自分たちがやりたいことをしたというよりは、地域の課題を見つけてその問題解決の手段としてライフスキル教育をした事例です。未婚で母子手帳をもらいにくる人が多かったことや住民の様子から子供の教育に着目して地域の一員としての方法を考えていました。

最後に東京都世田谷区のケアは他の地区とはまた違った問題がありました。人口が多く、その中にいくつもの区域があり、地方と違って距離自体はそれほどないためその区域を跨って様々なものが交錯します。人口も二極化しており、介護度が高くなると地域の外に出てしまう。単純に数字だけ見ても地域の問題はわかりません。地域で活動している人も地域の外の人も活動に加わっており、地域の活動とは何を指すのか東京では地方と同じ文脈で語ることができないように思います。

これらの話を聞いて思ったのは、やはり地域の課題は地域でしか見つからないし、解決方法は住民が望むものでないと意味がないです。そのための地域包括ケアの推進と考えるべきで、それに対して行政、住民、商業などが連携して行く仕組みを作り上げることが本当に大事だと思います。そこで不足していると感じたのは取り組みをちゃんとビジネスにするという視点です。ビジネスとは何も金儲けではなく、その取り組み(事業)が継続できる仕組みのことをいいます。

「資金が苦しい」という話がやはり今回も出ており、取り組みをするためのスキルアップのための研修費用だったり、作業する手間賃などなんとかしたいといっていました。本当に必要なものだったら資金調達の方法を考えなくてはいけません。またこの話は別のところで書くつもりです。

「いいことだからそれを助けてくれる人を待っている」だけじゃダメだというのが私の考えです。

プライマリ・ケア連合学会①「ポリファーマシー」



週末はプライマリ・ケア連合学会学術大会に参加してきました。参加したシンポジウム等の振り返りしたいと思います。ひとつめはポリファーマーシーについてのシンポジウムです。

登壇者は以下の通りです。

【不適切な多剤処方・ポリファーマシーは「薬」の罪?】

座長:   野呂瀬崇彦(北海道薬科大学 薬学教育分野)
      西村 真紀(高知大学医学部家庭医療学講座)
企画責任者:瀬川 正昭(こやだいら薬局/徳島文理大学薬学部)
      川上 和徳(綾川町国民健康保険陶病院)
不適切な多剤処方・ポリファーマシーは「薬」の罪?
      徳田 安春(臨床研修病院群プロジェクトむりぶし沖縄センター)
多職種連携・地域連携で患者中心のポリファーマシーに取り組もう
      宮田 靖志(愛知医科大学 地域医療教育学寄附講座・医学教育センター)
ポリファーマシーで見落としがちな視点と『残薬の見える化』を通じたこれからの地域連携
      佐藤 一生(北海道ファーマライズ株式会社 ひまわり薬局)


ポリファーマシーとは多剤が併用されている状態を言います。4〜6錠以上処方されていることをさすこともあります。このこと自体は状態を示しているので良いも悪いもないのです。問題になるのは「適切な処方をされていないで多剤併用になっている」ことなのです。不適切な処方とは、副作用発現に対して薬剤で対処して薬剤が増えるとか、他院からの処方に気づかずに漫然と薬が増えるなどのことを言います。

その問題となっている「適切な処方をされていないで多剤併用になっている」のは処方をする医師と薬剤師の連携の問題です。医師、薬剤師、それぞれの強みが違うということでそれぞれの弱みを補完して適切な処方が行われればいいのですが、そこができていません。

ポリファーマシーとなりがちなのは高齢者です。彼らはポリファーマシーの前にマルチモビリティ(多くの疾患を抱えている)であることを理解した適切な薬剤の用法用量、剤型選択がなされなくてはなりません。そこからも意図するベネフィットが得られる処方が本当にできているかを確認しなくてはなりません。このマルチモビリティの状態は多くのエビデンスがそのまま適応できません。何故ならば臨床試験となる集団はベースラインを整えられており、同じ結果が目の前の患者で得られない可能性があるのです。

また処方する側の問題として、「薬を減らしてしまって何かイベントが起こってしまったら患者からクレームが入るのではないか」という恐れから処方してしまっている場合もあります。薬剤選択をする時にも患者とどのような治療の意思決定プロセスだったかもとても大切なことです。患者の自律と医師の不安。これも突き詰めて考える必要があると思います。

よくポリファーマシー=残薬と考える人がいますが、正確にはポリファーマシーの中でも不適切な処方によって起こる一つの表出された問題です。それは残薬が起こる原因は多剤だけではないからです。例えば薬を使うのが勿体無いという理由で残しておいた、もしくはあまり服用間隔を伸ばしたというのは本人の経済的観念からです。そう考えると患者の生活状況や治療に対する考え方なども踏まえて治療方針、薬剤選択をしないと残薬が起こってしまうということになります。

今回のシンポジウムは医師・薬剤師との連携だけではなく、どのように患者と意思決定をするかというところまでの話がされており、非常に聞き応えのあるシンポジウムだったと思います。

単純に社会保障費を減らすためにポリファーマシー問題を解決する必要があると言われる方がいますが表層の問題解決だけをしても他の問題が出てくるだけです。真の課題を発見し、その事象を解決することを目指すべきと私は考えます。

2017年5月9日火曜日

イノベーションってなんだろう


ゴールデンウィークも終わり、街はいつもの平日の姿に戻りました。

第11回一橋ビジネスレビュー・スタディセッション 〜イノベーション研究これからの20年 に参加してきました。久々のイノベーション論の話はとても楽しかったです。

今回は時価総額ランキングの現状をみてゲームチェンジャーとなる企業が出ていないことを指摘、さらにその企業を見ると過去国営企業だったことがわかります。80年代は電機産業が名前を連ねていたことを考えるとこれでいいのか?という問題提起から始まりました。その後、技術革新がもたらした産業の変化やイノベーションのプロセスやその視点などを聞きました。

医療のイノベーションって他の業界とはやはり違いますね。ゆっくりとした連続性の中で社会の変化と共に変化していく業界ですので見えにくいと思います。国民皆保険制度があるため、生活の変化までをアウトカムとしてしまうともっとわかりません。しかし現場をみていると外的な要素だけで変化する業界かというと動きは色々あります。そこの変化は何かを見るのは私にとって心踊るものです。

それにしても今回のようなイノベーション論の話は興味深いです。人の生活や行動を変える原動力は何かを考えることはワクワクします。でもその時にいつも思うのはこのイノベーションによって人は幸せになっているかです。比較的イノベーション研究は新しい分野で、経済成長を支える原動力的な意味合いが強い傾向があります。しかし経済成長=イノベーションとするのは違うのではないだろうかなんても思ったりします。

人口減少時代に自分たちの生活が豊かになるということは何も目に見える経済成長だけではないと私は考えています。自分たちが本当に豊かになるためのイノベーションってなんだろうと今後も考え続けて行きたいです。

2017年5月6日土曜日

ヘルスケアシステム勉強会


6月のはじめごろに、制度を誰かに教えてもらうのではなく制度を学べる力をつけるための勉強会を企画しています。そのプレ勉強会を5月1日に実施しました。写真はその時の課題図書です。制度の大枠を伝えたのち疑問点を出し、課題図書を用いて問いを立てていきました。

その時のレポート(参加者の山本伸さんのブログです)
http://www.shinyamamoto.com/entry/2017/05/01/234100

この会は、制度について喧々諤々と学ぶのではなく、知りたいんだけどどうすればいいのかわからない人の「これってなんだろう」「どうしてなんだろう」を大事にする勉強会です。これを始めようとしたきっかけは、ちょうど「制度の勉強会したいな」と思ったとほぼ同時に同じように考えていた仲間がいたということです。

制度と連携して業界が動いていくので、医療だけではなく制度を学ぶことで自分たちの立ち位置や方向性を見定めなければなりません。そしてさらに一人の市民としての感性も持ちながらみんなで話しあいながら、医療をよくしていく土壌を創ることはとても大事なことです。そのための勉強会です。

今回企画するに当たって「制度」と言う言葉ではなく「システム」と言う言葉を使うことにしました。その理由は制度は堅苦しくて難しいと言うイベージがあり、ハードルが高く感じる人が多いからです。「ヘルスケアシステム」と言うことで、少しでも柔らかくとっかかりよくしたいと思っています。

プレの勉強会ではみんなの疑問がとても参考になりました。参加してくれた以外の人だったらまた違うかもしれませんが、どういったところに疑問をもち、どの辺まで理解しているのか、いないのかなどがわかりました。

今は第一回に向けて内容をブラッシュアップしている最中です。もう少ししたら告知をスタートします。能動的に学びたい方にきて欲しいです。

財政から医療介護を考えてみた


ブログ更新がまたまた滞りがちです。活動記録のために自分の感想と印象だけ書いておきます。

最近、お金にまつわるお勉強が多いです。ここしばらくミクロをずーっと考えていたので、マクロ的な視点を変える作業をしています。両方バランスよくやっていないと視点が固定され柔軟性が無くなります。この作業が自分の活動の源となっています。今回のお勉強は完全に経済学的な視点です。

なかなか面白かったです。権丈先生のお話はすんなり自分の中に入ってきました。以前から一度生でお話を聞きたいな、と思っていたのでついつい前の方の席でしっかり聞かせていただきました。
その他スピーカーの先生方のお話も大変興味深く聞かせていただきました。


マクロにみてそこから導き出される解であるため仕方のないことなのですが、現場に近い感覚で話を聞くと違和感も感じ、いろんな面で「?」が浮かぶところがあります。その感覚は自分の中で大事にしておこうと思います。

医療介護については、ある程度やるべきことは見えているような気がします。それをどうやって実行に移すかということがこれからの課題ではないでしょうか。そこに至るには先進医療、IoT技術の発展、そして倫理の問題があります。ひとつひとつも深く考えるべきことなのですが、そこに財政という制約がつくと途端にいろんな方向に転がり始めます。

そういった部分を持ちながら思ったことは、やはりこれからは地域で自律して一人一人が考えていく時代にすべきです。「国の制度がどうたら」と言ったり、診療報酬改定のたびに「こうすれば儲かる」と考えたりする時代ではいけないと思います。地域格差があるものを一律にすることが大事なのではなく地域の問題を解決することが大事です。その上で社会全体での落とし所はどこなのかを考えるべきと思います。国で制度の方針が決まりました、さあどうしましょうではなく能動的に考え実践する社会になればいいなと思いました。