2016年8月2日火曜日

平成28年度人生の最終段階における医療体制整備事業


7月30・31日と研修会を受講してきました。

昨年度は東京医療センターがモデル事業を実施していましたので、今後この事業がどのように展開していくかとても興味深くみていましたが、今年度も関わることができることになりました。

この事業の大きな目的は、人生の最終段階における医療の決定プロセスガイドラインの普及とこのガイドラインを具現化するための体制を構築していくことです。


厚生労働省 「患者の意思を尊重した人生の最終段階における医療体制について」


このガイドラインのポイントは、「一人できめない、一度にきめない」「患者と医療者との十分な対話」「その上での患者の意思尊重」「医療者内では多職種で相談」「判断が難しい場合は多職種専門チームから助言を得る」ことです。

なんだか当たり前のことのように感じますが、医療の現場は医師の独善できまったり、本人ではなく家族の意向が本人の希望のようにして意思決定がすすめられています。またインフォームドコンセントも医療者の説明だけに終わってしまっていることもよく見られます。それを変えていく必要があります。この事業をやったからといってすぐに考え方が変わるものではないと思いますが、きっかけの一つになると思います。

この事業は医療者側の働きかけなのですが、もう一方で患者側の意識を変えていく必要も同時あります。いくら医療者が自己決定を支援する体制が整えても、患者本人がいつまでも医療に対してお任せではダメですし、そもそも患者本人がどのように最後人生を終わらせたいかということを考えていかなくてはなりません。

人生の終わりは人間である以上、必ずいつか訪れます。いつその時がやってくるかは誰もそれはわかりません。その日は突然明日やってくるかもしないし、何十年先かもしれません。いきなり考えられなくてもすこしづつ考えていく必要があると思っています。

若い人はまだ先の話でも、何度も誤嚥性肺炎を繰り返したり、フレイルの方などは状態が急に悪くなったときには医療の介入で大きく意思決定をしなければならないときがきます。そういったことを想像もしていない方が多くいるのが現状です。人生最後というだけで「縁起でもない」と死を避けて話すらしたがらないことよくあります。

近い将来、団塊の世代が一気にお亡くなりになる時期がやってきます。このままいったらどうなるんだろうと考えてしまいます。医療者ではない一般市民の方には単なる終活ではなく、自分の人生の最後に受ける医療についても考えていって欲しいと思っています。



※フレイル
加齢に伴う様々な機能変化や生理的な予備能力の低下によって健康障害を招きやすい状態

老年医学会のステートメント

フレイルの意義



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