2018年6月30日土曜日

ポリファーマシー対策は進んでいるか?

プライマリ・ケア連合学会で参加したシンポジウムの感想を書こうと思います。




昨年のプライマリ・ケア連合学会でもポリファーマシーは取り上げられていました。
昨年の記事(プライマリ・ケア連合学会①「ポリファーマシー」)
今年はさらにポリファーマシー対策に薬剤師の活躍の話が聞けました。



今回の登壇者は以下のとおりです。
【シンポジウム10 ポリファーマシー対策は進んでいるか?~現場での取り組みと課題~】
座長:   宮田靖志(愛知医科大学 地域医療教育学寄付講座
      八田重雄(医療法人社団家族の森 多摩ファミリークリニック
企画責任者:宮田靖志(愛知医科大学 地域医療教育学寄付講座)

・病院勤務の薬剤師と医師・歯科医師が行うポリファーマシー対策
      仲井培雄(医療法人団和楽仁芳珠記念病院
・病院が主導するポリファーマシー是正
      吉岡陸展(宝塚市立病院 薬剤部)
・診察室から地域へ ーまず自ら行動することに意義がある
      福士元春(武蔵国分寺公園クリニック
・ポリファーマシー対策 -診療所薬剤師による処方提案と医薬連携
      八田重雄(医療法人社団家族の森 多摩ファミリークリニック)


芳珠記念病院のNST(栄養サポートチーム)は一般的なNSTとFST(摂食嚥下サポートチーム)と褥瘡対策チームを合わせたチーム活動をしています。そのチームがラウンドをしているときに気づいたポリファーマシーの現状に対して、入院中に医師と薬剤師が中心となり薬剤を整理し、退院時の退院支援として処方提案をするということをしています。その結果を地域医療機関に発信するということも行っています。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000176442.pdf

宝塚市立病院の取り組みも入院をきっかけとして薬剤を整理して地域へ戻すということを行っていました。

患者が複数の診療科にかかっていることは珍しいことはなく、お薬手帳もちゃんと活用できている人も少ないのが現状です。この2つの事例から、急性期に入院することは薬を整理するよい機会だと改めて思いました。

しかし退院後も薬をまとめて管理ができるかという点において、まだまだ課題は残っていそうです。患者が自分の行きたい医療機関に通ってしまったら元に戻ってしまいます。また、医療機関の医師が自分の使いたい薬を処方しても元に戻ってしまいます。これは地域連携の大きな課題だと思います。医師⇔薬剤師の関係性の話だけではないですね。

また、在宅医療側から武蔵国分寺公園クリニックと多摩ファミリークリニックの事例がありました。武蔵国分寺公園クリニックではEBMの実践の中で薬をできるだけ出さない取り組みの話でした。多摩ファミリークリニックの話はクリニックに入職している薬剤師が在宅医療の中で病院や他医療機関と連携を取りながら薬の管理をしているとのことです。

今回のシンポジウムを聞いて、カルテやレセプトはオンラインでつなぐべきだと改めて思いました。もちろんそれだけで解決することはないかと思いますが、少なくとも重複した薬が出されることがなくなります。また相互作用のチェックも容易になります。

昨年のシンポジウムから、薬剤師がただ残薬の整理・管理する役割から薬をとおした連携に一役買うようになってきているという変化を感じました。発表を聞いていた医師からも質問もどうやったら薬剤師とうまくやれるのかというものがありました。それだけ薬剤師の能力に対して期待が増えてきている表れだと思います。

まだまだ、ここまで出来ているところは少ないと思いますが、変革の臨界点はそこまできているのでしょうね。

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