2016年11月26日土曜日

MR-1コンテストプレセミナー


MR-1コンテストのプレセミナーを実施しました。
内容】
(講演1) 「MRが消えたなら、、、AIが仕事を奪う日           
      木村情報技術株式会社 代表取締役 木村 隆夫
(講演2) 「2020年の医療はこうなる ~地域包括ケアという免疫システムと一体となるMRと排除されるMRの違いとは?~」          
      木村情報技術株式会社 コンサナリスト®事業部長 川越 満

どちらも刺激的なタイトルです。

人工知能の話題はニュースでもよく取り入れられていますが、なんだか将来的に人間の力を追い抜くのではないか、人間の仕事を取って変わってしまうのではないかということが話題に登ります。製薬業界でもMRの仕事を奪うのではないかという話が出ています。
しかし実際はどこまで技術的に可能になっているのかということは意外とわかっていません。今回のセミナーはその辺りが技術革新の現状からMR活動についてのお伝えできたのではないかと思います。人工知能は沢山の情報から最適な解を導きだすという力に長けていますが、解を導き出す為に何をどのように教えて行くべきかというところは試行錯誤の状況です。またその解をどのように使うかも手探りです。実用化して人々の生活に浸透していくにはまだしばらく時間があるようです。

木村社長の話では、製薬企業での活用分野として1)コールセンター受付システム、2)24時間製品お問い合わせシステム、3)AI教育支援システムが挙げられていました。
他にも医療者自身がサイトにアクセスし検索した情報から好みだと思われる情報を提供する(すでにグーグルとかアマゾンでもありますよね)とか、画像診断を人工知能で行う、創薬研究支援などの研究が進んでいます。とはいうものの開発段階のものばかりなので、その信頼性は確保できてはいません。しかしそれは利用者側の理解(まだ開発段階だから仕方ないよね)からのルールづくりができれば技術革新のスピードも上がると考えられます。

川越さんの話では、SOV(Shear of Voice:コール数中心のディティール)をすればするほど、医療者からは排除されるMRは増え、その部分が人工知能やIoTの技術革新によって駆逐されてしまうということでした。人間には人間しかできないことがあり、それを考えていくことがMRが残る道だという指摘をしていました。医療には様々な解決されていないニーズがあります。そこを解決する為にどんな価値が提供できるか、価値の提供は人間の仕事であるというお話をいただきました。

お二人の話を聞いていて、MRのできることはまだあるんじゃないかなと感じました。地域包括ケアシステムは地域ごとで、そこに住んでいる人たちで作りあげるものです。そこにMRが入っていく為には多様なニーズに答えなければなりません。そこには人間でなければならない仕事はあると思います。しかしSOVは地域ごとのニーズには全く答えられません。個別化する情報提供のニーズに応えるための人工知能の活用はアリだと思います。しかし、ここでまた私の頭をよぎるのはプロモーションコードです。

今のプロモーションコードは添付文書情報しか提供しないという、わけのわからない自主規制を作っています。正確にいうとそれはプロモーションコードを遵守する為に行う企業内の自主規制です。添付文書情報の提供は別にMRでなくてもできることです。これこそ人工知能が最も得意とする部分です。つまり、本社の人たちはMRを本当はどうしたいのか聴きたくなってしまいます。また現場の人たちは添付文書の行間にある情報と患者さんにとって良いことをするための情報が欲しいのに、それをしませんと言い切っているのはどうかと思います。

MRの役割と技術革新。人工知能開発のロードマップが見えてきているからこそ、MRの役割をみなおす時期にきているのだと思っています。




2016年11月22日火曜日

大人の社会科見学


ペイシェントサロン名古屋とファブリーNextの企画で、工場見学を三重県鈴鹿市にある大日本住友製薬の鈴鹿工場に行って来ました。

社会人になって最初の会社が医療用具の会社だったので、医薬を専門としていながらも製薬工場の見学に行ったことがありませんでした。いつか行くタイミングがあれば行きたいなってずっと思っていたところ、フェイスブックでこの企画を見つけ喜び勇んで参加して来ました。

大日本住友製薬との繋がりがあったのはファブリーNextの石原八重子さんです。ファブリー病とは希少疾病で遺伝子が原因の代謝異常の病気です。

ファブリー病(大日本製薬サイト)

ファブリーNext

その薬を大日本製薬が製造しているということからの今回の工場見学に結びつきました。今回見学させていただいたのその薬ではありませんが、本当に貴重な機会でした。



まず初めに工場長から鈴鹿工場の位置付けなどをお話しいただき、そののちビデオを見せていただきました。



大日本住友は合併後は工場を4拠点持っており、原薬を作っているのは鈴鹿と大分だそうです。鈴鹿工場は東京ドーム4つ分の広大な敷地で医薬品を製造しています。製剤化する棟ではオートメーション化された工場内を見せていただきました。コンタミが起こらないように工夫された人と気流の流れやISO14001を取得するレベルで環境に配慮した設計なども非常に参考になりました。



他の製薬企業の工場については勉強不足ですが、これがバイオ製品やジェネリックだとどうなんだろうとそんなことも考えていました。
医薬品の製造販売のライセンスは医薬品ごとで、製造に関しては業務委託が可能です。今後、製薬企業の業務効率化等を検討した時に製品工場を持っているということで競争優位にどう影響するのかは興味のあるところです。最近ではジェネリックメーカーに製造を業務委託する事例もあると聞いています。製造販売のライセンスだけ持っていれば、今は営業部隊も業務委託可能であることを考えると、製薬企業の戦略はどの領域に強みを出していくのかが本当に大事になります。この工場のクオリティと拡張性から見て、大日本住友製薬がどんな戦略を立てるのか今後も見ていきたいと思います。

個人的には、機械を見るのが好きでカートが自動で動いていたり、ロボットアームの独特の動きを見るのが好きです。ここでどんな品質管理をするんだろうとか、ここのフェイルセーフをどうやってシステム化させるんだろうとか、そんなことも気になります。
機械が動く様子って可愛いなーなんて思って見ていました。

見学にあたりまして、様々な方のご厚意を賜り本当にありがとうございました。感謝いたします!





2016年11月14日月曜日

せたカフェ主催の認知症カフェに参加してきました


今日はせたカフェ主催の認知症カフェに参加してきました。
せたカフェは1年前くらいにお邪魔したことがありますが、認知症カフェは初めてです。


今回は松村医院の松村真司先生がゲストでした。ほぼ毎週お会いしているのですが、人前で話をしているところを見たことがなかったので一度聞いて見たいなと思っていました。そんなとき、私の友達も多く参加してるせたカフェでお話しをするというので行ってきました。

まず初めは松村先生のキャリアのお話。
お父さんが地元で開業している医師で、そのままそこを継ぐことを前提に医学部に入り勉強してが、その当時の医学部教育では、まちでよく見かける病気や怪我の治し方は教えてもらえなかったということで、家庭医の道を進んだそうです。
先生はちゃんとした家庭医のカリキュラムを受けたわけではないので正確には家庭医ではないと言っていました。私は十二分に家庭医だと思います。

今回のテーマである、認知症について事前に質問を受け付けており、それを答えるような形でお話が進みました。

1)認知症とはどういうものですか。
認知症とは状態を表している。治る認知症(ホルモン、薬剤性等)は治療をする必要があり、その鑑別はしなくてはならない。そうでない認知症に対してどこまでどのように治療すべきかは非常に曖昧かつ、哲学的なもの。そもそも病気と自然な老化との境界はどこか。病気を治療できるとしたら、どのレベルを目標に治療すべきなのか。

2)家族が認知症かもしれないという相談に対してどう対応しますか。
認知症によって家族にとって何が本当の困りごとなのかをよく聞いてそれを解決するようにしている。人と事を分けて、事に対して必要であれば介入をする。時としてしかるべき人にゆだねる。

3)認知症の人と接するときどういったことを心がけていますか。
同じ地域の住民として考えている。介入が難しい時もあるが、顔見知りの人を会したり、安心すこやかセンターにお願いすることもある。とにかく当面の困りごとについて考えている。

4)認知症に対して医療はどのくらい必要ですか。お一人様でも最後まで自宅は可能ですか。
認知症も治るものとそうでないものがあるので、治るものについては医療が必要である。しかし認知症だから最後まで自宅で居られないわけではなく、困りごとが何か、どの程度の困りごとなのかで異なる。


多分こんなお話だったと思います。いろんなエピソードを交えてお話いただいたので、私のメモが追いついていません。。。

他の参加者の方と話していて思ったのは、「認知症になるのが怖い、だから予防したい」と考える人が多いということです。「がんになるのが怖い、だから予防したい」と同じなんですよね。加齢に伴う自然な認知能力の低下ということをうまく受け入れられていないのではないでしょうか。昔は、「もう歳でボケてきちゃって」ということは当たり前だったように思います。でもみんなが長生きする世の中になり、医療の発展に伴って薬ができたり、検査ができたりします。

人間はいつか死にます。なんでも予防というよりも今を生きる方がいい。ただ準備できることは準備はすべきかとも思います。その準備とは、自分がボケても受け入れてくれる友達を作ることではないかと思います。

「ともちゃんボケちゃったけどしょうがない。」って言ってくれる人を増やすことが私の準備ではないかなと思っています。認知症って本人よりも周りが困ることの方が多いと思います。

認知症は記憶がどんどん失われていっても感情は後までずっと残っています。困ったことをした時に嫌がられると、相手の嫌な感情を受け取り周辺症状出てしまうのではないかと考えています。であれば「ともちゃんだからしょうがないね」ってニコニコ構ってくれる人が周りにいっぱいいれば少しは周りを困らせるような行動は取らないと思います。だから私は可愛いおばあちゃんになるのが夢なのです。

認知症は長く生きたからこそ出てくる問題だと思います。
写真は、認知症カフェに参加する前に行った松陰神社の吉田松蔭の銅像です。
彼の時代は今と逆で短く太くというものでした。



2016年11月13日日曜日

国立病院総合医学会に参加しました。


第70回国立病院総合医学会に参加する為に沖縄にいってきました。またまた今回も晴れ女パワーです。とてもいい天気に恵まれ、寒がりの私にはとてもありがたい天候でした。
私は少し汗ばむくらいがちょうどです。

第70回国立病院総合医学会
https://www.congre.co.jp/nms70/




この学会は国立病院の職員だけの学会。演題も本当に幅広く、じっくり考えるというよりは「国立病院の人はこんな感じにものを考えているのね」なんて思って参加していました。

専門分野の濃い雰囲気だったり、規模は大きいけど派手さはそれほどありません。
全体的におっとりした雰囲気で、基本的に真面目な印象です。黒のスーツの人が多かったからかな、目立つ人がそれほどいませんでした。

















それにしても会場が広いというか遠い。。。
歩けない距離ではないですが、端から端まで歩くのは少し大変でした。










私が発表したのは東京医療センターの倫理サポートチームの組織構築です。この辺のお仕事の話はまたそのうち書きます。



私は東京医療センターから他の参加した人の発表を見たり聞いたりした以外は、シンポジウムで診療報酬改定や病床機能改変、地域医療構想、医療ビックデータなどの話を聞いていました。こういう演題があるところが国立病院機構ならではなんですよね。

一度に色々勉強できてとても充実した時間を過ごせました。参加できて感謝です。

2016年11月8日火曜日

マギーズ東京に行ってきました



ふらっとマギーズ東京に行って来ました。オープンイベントの時は他に予定があって参加することができなかったのですが、あまりにも家から近いので「いつでもいけるや」と思ってまだ訪れていませんでした。

昼に動ける時間ができたのですが、何をしようかと考えたとき「そういえばまだマギーズに行ってなかったな」ということでアポイントもなしに行って来ました。


ゆりかもめに乗って市場前で降りました。


駅からの眺めです。この橋はまだ開通していません。この先は築地市場の方へと続いているのですが、いつ開通するのでしょうね。


これが噂の新しい市場です。今日はこちらには用はありませんが、一応ミーハーなので写真は撮っておきました。


駅からマギーズに向かって行く途中は空き地だらけです。大きな建物は東京ガスと市場くらいです。




てくてくと歩いて行くとMy Villageというグローバルビレッジがあり、その奥にマギーズ東京があります。



駅からの距離はだいたいゆっくり歩いて5分くらいでしょうか。
とてもフレンドリーなボランティアのおじさんが笑顔で迎えてくれました。













ここはがん患者さんが「病気や治療についてとまどうとき、気軽に訪れ、医学的知識のある友人のような相手に気兼ねなく相談できる」場所です。
マギーズは英国発祥のチャリティ団体で、「団体、行政、病院、企業、個人等の寄付による自由な運営が特徴で、予約なしに無料で利用できます。」日本もクラウドファウンディングにより建設費用が集められこの建物が建てられています。

建物は「家庭的な雰囲気で、入るとすぐにキッチンがあり、木や自然の素材を用い、自然光が入って明るく、窓から庭が見えるなどのマギーズセンターの建築基準に沿って建築家が自由に設計しています。」

常勤に看護師2名がいます。あとはボランティアで看護師、臨床心理士、栄養士、患者支援活動をされている方などが患者や患者家族の方の対応をします。

お茶もお菓子も用意してあり、話をしたり、時には泣いたりできるような場ということで色々と配慮のある設計がされています。

現在は平日の10:00〜16:00しかやっていません。今後イベント等も企画されるということなのでこれからの展開が楽しみですね。

マギーズ東京






2016年11月1日火曜日

譜久山病院内覧会


兵庫県明石市の譜久山病院の新築移転の内覧会にお邪魔させていただきました。

譜久山さんとは今年3月、福井に行った時に一緒に市内観光して、学会終了後もレンタカーに便乗させていただいたご縁です。その節は大変お世話になりました。

その時に新築移転のことを伺っており、病院にライブラリーを作るということはお話されていました。病院でライブラリーがあったら確かに素敵です。そのライブラリーを見たいなーと思って出かけて行きました。

”「またきてね」といえる病院を目指す”というのがコンセプトです。病院が「またきてね」とはどういうことなんだろうと、とても興味を持ちました。


譜久山病院

最寄駅は山陽電車「西新町」です。駅からすぐ見えます。
入り口から待合室までは窓が大きく天井が高いのでとても明るいです。



入ってすぐの階段を上がるとコミュニティホールがあるのですが、その階段の下に聞いていた本棚がありました。まだ本はあまり入っていませんが、本棚にぎっしり本が詰まったら素敵だろうなと眺めていました。




院内は全体的に明るく、外に行こうと思うような仕掛けがあちこちにありました。
リハビリ室の外には花壇もありました。




この病院は3階、4階部分が病棟になります。4階はがんの緩和ケア病棟となる予定です。入院された方やご家族の方がくつろげる空間を作っています。
やはり心痛めた患者さんやご家族が暗い気持ちになりすぎないようにという気遣いが見えました。






病院のロケーション的にも明石海峡の橋や風力発電の風車も窓から見えます。




2階部分はコミュニティホールがあり、そこで地域の方に向けたイベントを企画する予定にしているそうです。またこのあたりは水が出る災害の可能性があるそうで、周りに高いところがないことからもここを避難場所としても解放をすることを考えているそうです。



内覧会の開始にあたって明石市副市長とコミュニティデザイナーの山崎亮さん、譜久山さんの対談がありました。その中で、市として考えているまちづくりの一環としてこの譜久山とうまく協力してやっていくという話がありました。非常にこれが興味深かったです。

地域づくりも様々なモデルがありますが、このスタイルは他では見たことがないです。そういう意味ではどんなようになっていくんだろうかとワクワクした気持ちで見守っています。地域ごとで本当にいろんなやり方があります。それを今後もみさせていただこうと思います。コミュニティホールでイベントをするようになったらまたお邪魔したいと思っています。



「また来てね」と言える病院のキャッチを考えたのは、事務の職員の方です。本当にみんなが一つになって病院の将来を考えたんだなと感じました。職員の方が生き生きしているというのは素晴らしいことです。


譜久山さん、ありがとうございました。


明石市


ちなみに明石市は日本標準時子午線が通る町です。内覧会が終わった後に天文科学館も見学してきました。時間があったらプラネタリウムが見たかったです。