2016年12月19日月曜日

「介護されしもの」との対話①


今年のあっちこっちは先月で終わるはずでしたが、またもやついうっかりあっちこっちしてしまいました。そのあっちこっちは山形県鶴岡市のあつみ温泉まで足をのばしました。

ここに行こうと思ったのは、ずっと介護とは何かを考え続けていた時にこのブログを見つけたところから始まります。

【介護されしもの】

このブログの主は武久明雄さんです。武久さんは44歳の時に脳幹出血で四肢麻痺となり介護が必要となった方です。脳幹は人間の呼吸や体温、様々な調節機能を司る部分でともすれば亡くなっていた可能性もあります。44歳といえば、30代よりは若干体力の衰えばあるものの仕事もこれから脂の乗っている時期という年齢です。そんな時に突然倒れて介護を受ける身になってしまった武久さんから見た介護というものや、今の世の中に対して感じるものがこのブログには綴られています。その言葉に惹かれてついついアポイントをとってヒヤリングしに行ってきました。

いろんなことを感じて考えたのですが、今回のブログはざっくりとしたことを書こうと思います。その他のことは時間をおいてゆっくりと振り返るつもりです。

武久さんの自宅は山形県鶴岡市にあり、日本海に面した町です。あつみ温泉駅から車で約20分くらいの場所にあります。私は前日に移動しあつみ温泉の旅館に宿泊しました。調べてみると鶴岡市というのは歴史のあるところで徳川四天王の酒井家が治めており、あつみ温泉自体もお殿様の湯治場というところのようです。もう少し時間があれば色々と足をのばしたくなりますが、今回はヒヤリングのみの弾丸ツアーでした。それでも温泉旅館に泊まったのでちゃんと温泉に入ることができました。

ご自宅のお部屋の中はバリアフリーになっておりまた奥様の配慮の行きどどいた空間がそこにはありました。ベッドの横には介護リフトがありました。様子はこの動画を見ていただくとわかりやすいです。

【介護リフトのある暮らし】

かなり多岐にわたってお話をさせていただきました。
ブログの文章を読んでいて気づくことは、武久さんは障害を持ってしまったことに対してきちんと受容していることです。しかしそこまでたどり着くまでには様々な葛藤のあったでしょう。そして周囲の状況と周囲との関係。何が彼をそうさせているのか、そしてどのように感じ、どうしていきたいのかということを直接お話を伺いたいと私は思いました。

やはり発信するようになるまでには、一定の心の経過をたどっていらっしゃるのは、がんなどの病と同じだと思いました。そして自分なりの哲学を持っていることがよくわかりました。いただいた著書などからも読み取れます。

武久さんは病気になるまでは工場で組織をまとめる仕事をされていたそうです。生産効率を上げることを考えたり、メンバーを指導する立場だったそうです。そして釣りが好きで、矢沢永吉の好きなやんちゃなおじさん。明るくギャグを言って人を笑わせたりしていたそうです。

介護を受けるというのは、自らのプライドを手放すことが必要なこと。そしてそんな自分を赦す強さも必要なこと。それが若くしてその現実と対峙することになったということがよくわかりました。悔しさ、恥ずかしさ、やるせなさ、そして今あるものに対する感謝や愛情など一切合切がグチャグチャと混ざって、煮詰めて漉して出てきたのが、あのブログの言葉だったんだろうなと思いました。恨みつらみではない言葉がとても力強く感じます。ぜひ一度ブログを読んでいただきたいと思います。

一旦ここまでとしますが、続きます。



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