2017年7月21日金曜日

医薬品のROI


ほぼ毎月開催しているNPO医桜が主催している「地域包括ケアをしっかり勉強する会」の第14回は地域包括ケアと医療経済でした。講師は五十嵐 中先生(東京大学大学院薬学系研究科・薬学部 准教授)でした。

地域包括ケアで何故に医療経済?という疑問はさておき、個人的には医薬品の研究開発に興味があるので医薬品の経済効果の話はとても面白く聞かせていただきました。

最近はハーボニーやオプジーボ、レパーサと言った高額な医薬品が販売されています。これらは当然保険適応になっているですが、あまりの高額なため薬剤費の高騰が心配されています。医薬品の価格は同種薬効がない新薬の場合は製造原価や海外の価格が参照され、決定されています。ここ最近の医薬品の製造原価が高いのはバイオ製品である故に開発コストや製造コストが高額であることも原因となっています。いくら画期的な医薬品であってもその価格に見合う臨床効果があるのか?という考え方を持たないと、医療費はどこまでも増えてしまいます。

今回質の評価でQALYs(質調整生存年:Quality-adjusted life year)で検討するという方法の話がありました。生存年齢と生活の質(QOL)の双方を考慮する指標です。1QALYは完全に健康な1年間に相当する。もしある人の健康が完全ではないならば、その1年間は1以下のQALYとして算定され、死亡すれば0QALYと算定されます。

製薬企業から見ると少しでも少しでも高い薬価がつくようにしたいというのは当然です。特に医薬品の開発は長い期間と高いコストがかかります。しかも開発の成功率も低い、ある意味ギャンブルのようなものです。さらに特許が切れれば後発品に切り替わることを考えれば当然の考えになります。ただ、正直にいうと今の日本の製薬会社がどこまで費用対効果の良い医薬品を出せるのか疑問に思っています。

今回のお話を聞いて思ったことは、なんでもかんでも保険適応という時代ではないのだと改めて思いました。この評価については私は専門外なので何も言えませんが、患者にとっていいというだけではなく、そのかける費用に見合う価値を提供するという考えになっていく方向が完全に見えてきています。

地域包括ケアという視点で考えるとケアに関する費用対効果の研究はまだまだこれからのようですが、きっと同様にそういう考えがどんどん入ってくるのでしょうね。

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