2017年7月23日日曜日

専門医制度のゆくえ


地域医療研究会主催の「日本の専門医制度の行方と問題点」を聞きにいってきました。


新専門医制度の議論の流れや問題点が議論を通してよくわかりました。かなり突っ込んだことも聞けましたので非常に有意義な時間でした。

新専門医制度は、これまでの専門医制度がピンからキリまである学会が独自に認定してる専門医が必ずしも質を表している訳ではないというところからスタートしています。そして中立的な第三者期間(専門医機構)を作り質を担保することが目的だったはずが、いつのまにか新しいプログラムは医師の偏在を助長するとか地域医療を崩壊させるなどといった意見が出てきて、平成30年に本当にスタートできるのか非常に疑問である状況です。

この話は、地域医療だけの話ではなく、医師のキャリア形成や働き方、女性の医師への配慮なども絡んでおり、非常にわかりにくい議論になっていると思います。さらによく聞いていると学会同士でのコンセンサスや医局派遣と医師の雇用、果ては医師職員の身分に関する行政の無知だったりもあり専門医を取りたい現場で働く医師にとって色々と混乱を招いています。

もっとも問題だと思うのが、「国民の視点に立った上で、育成される側のキャリア形成支援の視点も重視して構築」と基本的な考え方にあるのに全く普通の国民が理解できないという現状です。現在2名の患者代表が入っていますが、それでも本当に国民が望んでいる専門医制度なのかというとあまりそう見えません。

多分、専門医がスーパードクターの証なのか、単にトレーニングを受けた証なのかが国民がわからないところが一番気持ち悪いところなのだと思います。スーパードクターとしての証ならそんなに数は要らず、上限を作るくらい厳しくないと意味がないです。地域医療を考えるなら間違いなく総合診療医がもっと必要だと思いますし、専門医という証が地域の開業医となった時に本当に必要なものなのか正直いって疑問です。むしろ専門医を取りたいという医師が多いことから逆に医師の育成期間を長くしてしまい、結果として本当に必要な医療が充足されなくなる危険はないのかと心配になります。

まだまだ各団体の意見調整や専門医機構の体制作りは難航しそうですが、少しでもいい専門医制度になることを願って止みません。

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