2016年2月21日日曜日

エンドオブライフ・ケア協会の研修


この土日は9:00〜17:00までびっちり研修でした。
受講した研修はエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座です。
■エンドオブライフ・ケア協会

人生の最終段階のお仕事をしていることもあり、勉強のために行ってきました。
私の知識やスキルの確認という意味もあります。

対象は医療者だけではなく、看取りをする介護職の方も入ります。約90名もの人が参加していました。なかなかすごいです。私のグループも看護師、介護職の人が半々でした。

受講してみて、とにかくぐったり・・・
理由はスピリチュアル・ペインをがっつり扱い、細かいパーツにわけるとそれぞれで1日できてしまうものを凝縮して、さらにインプット・アウトプットの繰り返し。。。。

それにしてもスピリチュアル・ペインはとにかく重い。事例を読みながら、自分の過去の経験などを持っているとさらに頭のなかはそれを思い出してかなりしんどいです。実はここ最近、祖母のことを思い出すようなことが多く、それに追い打ちがかかった感じでした。祖母への思いはすでに消化されているのですがかなり気分的に落ちます。

スピリチュアル・ペインは、4つの痛み(身体的痛み、精神的痛み、社会的痛み、スピリチュアルな痛み)のうち、対応ができない痛みになります。それは患者さんの自己の存在と意味から生じる苦痛で、死を目の前にした人が「なぜ私がこんな目にあうの?」とかどんどんできなくなっていく自分に対して「生きている意味がない」というものです。これって答えがないですよね。それに対して医療者、介護職などが向き合うという研修です。

痛みとはありたい姿(希望)と現実とのギャップによって生まれます。苦しみながらも、それまで気づかなかった支えに気付きます。その苦しみ、支えを見つけて支援することが周りにできることになります。それに対応して徹底的に叩き込まれるのが、「苦しんでいる人にとって苦しみを理解してくれる人がいると嬉しいと感じます。しかし人は相手のことを100%理解することはできません。どのような支援者であればいいのかというと、苦しんでいる人が”自分を理解してくれる人と思う”人であればいい」というものです。

散々、コミュニケーションやコーチングのトレーニングをやってきていますが、このシチュエーションは本当に難しいです。普通の時とは精神状態もまったく違うため、支援者が健康である状況で「死」を語るには向きあい方を知らないとバーンアウトしてしまいます。私も頭でわかっていてもかなりタフに感じます。しかし現場では普通なんでしょうね。

でもそれをキャッチできない(もしかしたらしたくないのかも)のが今の医療・介護現場なのかもしれません。

これを体感したのは大きな収穫だと思っています。
人は一人で生まれ、一人で死んでいきます。そして人はとても弱い存在です。だから支えが必要。この支えになる人材を増やしていかないと今後の看取りは厳しいのではないでしょうか。

私は東京医療センターで倫理コンサルテーション事業のお手伝いをしていますが、今回の研修をうけて、倫理サポートチーム(EST)の位置付けなどの意味あいがすんなりと落ちてきました。(この話はまた別に書きます。)

いい経験をしました。また小澤竹俊先生(めぐみ在宅クリニックhttp://megumizaitaku.jp)の熱い思いが伝わってきました。

研修の終わりにふっと思い出した言葉あります。人生の最終段階をずーっと考えた二日間だったからでしょう。それは数年前にみた映画「ツナグ」で樹木希林が読み上げていた詩です。

「最上のわざ」ヘルマン・ホイヴェルス『人生の秋に』

この世の最上のわざは何?
楽しい心で年をとり、
働きたいけれども休み、
しゃべりたいけれども黙り、失望しそうなときに希望し、
従順に、平静に、おのれの十字架をになう。

若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見ても、ねたまず、
人のために働くよりも、
謙虚に人の世話になり、
弱って、もはや人のために役だたずとも、
親切で柔和であること。

老いの重荷は神の賜物、
古びた心に、これで最後のみがきをかける。
まことのふるさとへ行くために。
おのれをこの世につなぐ鎖を少しずつ外ずしていくのは、
真にえらい仕事。
こうして何もできなくなれば、
それを謙虚に承諾するのだ。

神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。
それは祈りだ。
手は何もできない。
けれども最後まで合掌できる。
愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために。

すべてをなし終えたら、
臨終の床に神の声をきくだろう。
「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と。

この映画をみた時より少し成長しているきがします。
http://yaplog.jp/tre_opensesame/8

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