臨床倫理は医療施設や介護施設、在宅医療の臨床の場において、ひとりひとりの患者さんの選択に関する問題を検討する実践的な学問領域です。このシンポジウムは臨床倫理の理論化等にご尽力された清水哲郎先生が東京大学を退官される最終講義でもありました。
今回のシンポジウムで私が感じたことは、これからもっと患者の意思決定支援という言葉が臨床で広がっていくのだろうなという感覚です。参加者の多さやFBでの参加者のコメントなどを読むと少なくとも参加した方々に響くものがあったと思います。
患者の意思(自律性)を尊重するということが最も大切なことなのですが、これまではそういった概念すら臨床の場ではあまり見られませんでした。それは医療の限界が今よりずっと手前にあったからです。目の前にある命を助けること、それが医療者の使命でした。ところが医療技術の発展によって本人が意図しないところで延命が行われたりすることもありました。しかし現在の人生の最終段階の問題は高齢化の中でこれまでとは違った様相で起こっています。問題も複雑なことや倫理的ジレンマなどもよくあります。そこで医療者が倫理的に物事を考えるということができるようになるということはいいことだと思います。もちろん考え方が浸透するだけでは十分ではありません。
今回のシンポジウムの発表はまだまだ医療全体からしたら先端を走る話だと思いますが、今後の医療や介護の業界の動きがとても気になります。
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