2017年8月31日木曜日

神奈川県内科医学会・横浜内科学会 第3回MR研修会に参加してきました


MR1コンテストの翌日に神奈川県内科医学会・横浜内科学会 第3回MR研修会に参加してきました。MR1コンテストの審査員でお世話になった小野容明先生は横浜内科学会の会長です。

http://hamamed.jp/member/workshop/mr-3/

研修会は神奈川県総合医療会の講堂で行われました。内容は薬学に偏らず医学全般です。一通り講演が終わったあとにレポートを書く時間があり、その後Q&Aがありました。

参加しているMRさんとはお話しできませんでしたが、自社の製品以外の話題を彼らがどの程度理解できたのか、どのような行動変容が起こるのかはわかりません。なかには「休みの日にめんどくさい」としか思っていない人もいるかもしれません。自社製品の関連領域以外のことについては、製薬企業ではあまり教えることはしていませんので、プログラムにあった認知症と免許証のことなど、臨床現場での問題を聞けるはとても有難いことだとおもいました。

この研修会のプログラムを一日通して聞いて感じたのは明確な「自社製品の薬学的な話だけは聞きたくない」という間接的なメッセージと私は理解しました。

多くの企業の教育は教えたいことを細かく丁寧に研修を行います。ですので、こういった間接的なメッセージ対して、どれだけの人が気付けているのでしょうか。経験年数がある程度あって、医療者と十分なコミュニケーションが取れている人なら気付けるかもしれません。

研修会だけでは製薬企業と医療者の関係性が劇的に変わるのは難しいかもしれません。今後どのように神奈川県内科医学会・横浜内科学会が活動していくのか目が離せません。

2017年8月29日火曜日

第3回MR1コンテスト「人工知能に立ち向かえ!MR減少時代に生き残れるか」


去る8月26日に星薬科大学にてMR1コンテスト2017「人工知能に立ち向かえ!MR減少時代に生き残れるか」を行いました。結果は以下の通りです。おめでとうございます。

<最高殊勲MR(MVMR)>
吉田真幸さん(武田薬品)

<準MVMR>
上杉航大さん(サノフィ)

<特別賞・優秀賞>
石丸健太郎さん(協和発酵キリン)
岩堀光利さん(サノフィ)
歌川毅さん(中外)
大谷麻衣さん(フェリング・ファーマ)
鈴木草介さん(大日本住友)
濱島知博さん(GSK)

午前中の特別セミナーでは東京医療センターの尾藤誠司先生に「医療専門職の職能とプロフェッショナリズム~その現在と未来~」をご講演いただき、その後に実行委員メンバーとのパネルディスカッションを行いました。
午後から予選を勝ち抜いたファイナリスト8名がプレゼン、ロープレ、それぞれ3分の持ち時間で競いました。



ここからは裏方としての感想を書きます。
とにかく準備が大変でした。8名を審査するのでとにかくタイムコントロールが大変でした。多くの方が関わっているのでそれぞれの動きを把握しなくてはならないのですが、これがまた大変です。ファイナリストや審査員の誘導もありますし、いかに一方的にプレゼンするイベントが楽か毎回思います。ミスはあるものの本当に毎回無事に終わってよかったと思っています。ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

今回のファイナリストのみなさんを見て本当に若く、私がMRをやっていた頃を知らない世代なんだと改めて思いました。それとみんなプレゼン、ロープレに慣れていますね。研修の機会もたくさんあるのだと思います。ひとりひとりに対して述べることはないのですが、全体的な傾向として予め用意されたものを如何に伝えるかということには非常に長けているのですが、それ以外になると非常に弱い。

今回ロープレのお題になっている妊産婦への薬剤投与について薬剤師からの問い合わせについて、投与したいと言った医師の名前を聞くだけで患者さん像、投与の背景について聞くことができなかったのは非常に残念でした。ロープレという普段と違う設定ですし、自社製品ではなく架空の製品だっただけに緊張ややりにくさもあったと思います。しかしMRに質問があるということは患者の治療になんらかの可能性を探したいというニーズがあると思います。そこをちゃんと受け止めることをしないで添付文書にあることしか言わないというのはコミュニケーションをそこでブロックすることになります。

ただ、この添付文書に書かれていないことをMRが話をすることに関してはもっと根深い問題があるのでまた別の機会にどこかで書こうと思いますが、決してMRが悪いのではなく企業側の姿勢が問題だと思っています。今回はそれをわかった上でコミュニケーションという面に置いてあまりよいとは言えませんでした。

コミュニケーションとはお互いの意思疎通です。医療者が話していることとMRが答えていることがズレています。このズレはあまりにも大きいと私は思います。医療者にMRのことをわかってもらおうなんて思いませんが、MRがもっと医療者のことをわかってもいいのではないでしょうか。医療者が患者さんを見て、どう考えているのか、その職種によってどんな考え方の違いがあるのか、そして目の前の医療者個々の個性。。。

こういうものは研修では概念的なことしか教えることができず、自分で見て聞いて自分で感じてそして自分なりの答えを探さなくてはなりません。MRという仕事でなくともヘルスケア業界で仕事をしようと思うなら、現場で感じることをしなくては単なる机上の空論です。会社の研修だけではなく、医療の現場でおこっていることをもっと自分から知ろうとしないと機械に置き換わるのもそう遠くないと思っています。

人工知能と人間の違いは情報を入力する時に、人間は感覚器(五感)から感じることで情報をインプットしています。五感(もしかしたら第六感も?)の情報量は、やはりリアルが一番。人工知能は人間が入力した大量の情報を処理するのが得意です。しかし五感の情報を統合して自分なりの答えをだすというのはまだ人間だけのものです。

もっともっとMRの人たちは医療現場を「感じ」て欲しいです。同じ環境でいるとアンテナは鈍ります。刺激を受けにどんどん飛び出して欲しいと思っています。

みなさんお疲れ様でした〜〜〜

2017年8月20日日曜日

ジャパンキャンサーフォーラムに行ってきました



ジャパンキャンサーフォーラム2017に行ってきました。

様々ながんの最新情報のアップデート、近年のがん医療の現状と課題、正しい知識と情報を、広くがん患者・家族、市民に普及・啓発するために行われているキャンサーネット主催のフォーラムです。2014年からスタートしており、今年で4回目です。

数多くの患者団体、患者支援団体、企業が協力をしており非常に熱気のある会場でした。プログラムを見ても各種がんごとの理解を深めるものや、がんに罹患して起こる諸々の困りごとに関することを専門家から話が聞けます。

がん患者の数は年々増えています。しかしがんにかかったことがない人からするとまだまだ遠い話としか感じられないのかな?なんて思います。こういった話はまだがんになっていない人に聞いてもらいたいです。

インターネットの中の情報は玉石混淆です。そこから間違った知識で自分の考えてる医療が受けられなくなってしまうこともあります。そういうことがない世の中になって欲しいと思っています。

2017年8月18日金曜日

日本医学教育学会プレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】


日本医学教育学会プレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】を実施しました。http://www.c-linkage.co.jp/jsme49/precongress/index.html?fref=gc

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(要旨)
人工知能の発達は、深層学習能力を得てから、状況が一変した。この成果は電子カルテと結びつき、医師としての診断能力を助ける目的に開発されるが、逆に脅かす存在になる可能性は? 人工知能医師を主治医に持つ患者が、人間医師の診察を受けにやって来る。このとき、どのような医師―患者関係を、どのように築くのか? またIoTの発達により、ウエラブルのセンサーから患者の状況を収集できるため、病院に縛られない多職種連携の地域医療や遠隔医療の時代となる。
このようなまったく新しい時代の医師にとって本質的に必要な能力とは、いかなるものか? 未来に活躍する医師を現在育てる医学教育について考える。
ワークショップの運営は、ICTを駆使して参加型で行う。
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今回の学会会場は札幌ですが、東京会場とWEB会議システム(Go to meeting)を使い、それぞれの会場の議論内容をFBグループを使って共有しつつ話を進めました。無料のシステムを使っているので、快適な学習環境とまでは行きませんでしたがなかなか面白い試みでした。FBに癖がありすぎて面倒なことがちょっと多くて、できれば次は違うツールの方がいいかもなんて思いました。

人工知能の話については、色々と見てきて人工知能はあまり恐れるものではなく、携帯電話やスマートフォンを使いこなすように自然に私たちの生活の中に入っていくものだと私は考えています。今の技術を考えるといきなり人間の仕事を取って代わるほどではありません。

人工知能が人間に近づくことが問題なのではなく、人工知能が当たり前に使われる環境変化に対応できなくなることが問題なのだと考えています。例えば人工知能を使ったもので事故が起こった場合の責任はどうなるのかなどもあります。法律もいつも後追いです。
他にも格差が広がった社会になってしまった時、人工知能がある生活を送れない人に対してどのようなことを考えるべきなのか。そんなことを考えています。

今回は医学教育がテーマです。医学教育の前にまず人工知能の発達で医療はどう変わるのでしょうか。多くのデータを処理して「適切」な解をだすことができるようになるので、診断の質は上がると思います。治療についても管理なども変化していくと思われます。

そんな時代に患者は医師に何を求めるのでしょう

患者はいつも自分が健康でいることを望んでおり、病を遠ざけたいと思っている。これは今も未来も変わらないことだと思います。そう考えれば今よりもずっと人間性が重要視されるのではないでしょうか。そうなると教育は倫理、道徳、哲学が重要となると思います。余計に教育は難しくなるのでしょうね。


(過去の人工知能に関連するブログ記事)
あなたはAIを愛せますか?
読書会「人工知能にできることできないこと」
人工知能と音楽



2017年8月12日土曜日

ヘルスケアシステムを紐解くワークショップ 第3回


3回シリーズヘルスケアシステムを紐解くワークショップ、無事終了しました。
きていただいた方には、本当に、本当に感謝です。このワークショップはヘルスケア業界の環境変化について学んでもらうもので、過去〜現在〜未来を制度をみんなで理解を深めていきました。

前の2回はどうしても知識が一定ではないためインプットが多くなりがちでしたが、第3回は未来のことなので読書会スタイルをとって自分たちで考えることを中心に進めていきました。

その題材は厚労省から出された「保健医療2035」です。

その中にある提言書をみんなで分担して読みました。

私からは「保健医療2035」を読み解くにあたりヘルスケアに関わる技術革新の事例を話しました。提言書を読んだ後に次回の診療報酬改定に関連する話をして、方向性と現在の状況をお伝えしました。

「保健医療2035」を読むと書かれていることをどんどん具現化していくように制度が動いていることがよくわかります。現在の制度の中にどんどんこの要素が組み込まれてきています。

「未来から逆算して今をみる」

そんな思考で世の中を見ていると多少の変化があっても方向性さえ見失わなければゴールに辿り着きます。自分が望む2035年と実際の2035年がどうなるかはわかりませんが、少なくとも想像した未来はどこかに存在するのではないかと思っています。

3回シリーズを実施するに当たって、BMIAヘルスケア分科会の國井さんには大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

今後の予定はまだ決めていませんが、また秋ぐらいから動きをみて勉強会を企画しようかと思っています。

人工知能と音楽



東京都都市大学の大谷紀子先生の研究室にお邪魔してきました。

今回は大学院の恩師がビジネスモデル学会のジャーナル誌(BMAジャーナル https://biz-model.org/publication/bmaj/)の編集長をしており、その取材に同行させていただきました。

大谷先生の専門は進化計算アルゴリスムの応用と多数決機械の応用です。大谷先生の研究は人工知能は進化計算アルゴリズムを使って作曲させています。

大谷先生との具体的なお話はBMAジャーナルにお任せしようと思いますが、非常に面白かったのは人工知能は万能ではないということです。人工知能が仕事を奪うのではないかという話題が出てきますが、少なくとも現状ではそのレベルに達していません。そのことがわからずに、なんとなく人工知能というだけで話題になっているのではないかというお話をしました。私も昨年あたりから人工知能について興味を持って色々と話を聞いていますが、専門家のから話を聞くとみなさん同じことをおっしゃいます。何ができて何ができないのかやはり個別に考えるしかなさそうです。

大谷先生の人工知能を使った作曲についてですが、ある人の好みの音源を人工知能に読み込ませそこから特徴を抽出し進化計算アルゴリスムを使って毎回違った曲を作曲させます。


この曲は人間とAIのコラボレーションがテーマです。東京都市大学メディア情報学部の岡部大介教授と大谷が歌詞を創りました。AIが創り出したメロディを透明感あるフォークデュオ「ワライナキ」が歌っています。

大谷先生と高齢者に思い出の曲を入力してもらってAIに作曲させたらどうかというお話をさせていただきました。実際に学園祭の時にやってもらったそうなんですが、高齢者の方は非常に気に入ってご自身で歌詞をつけたりなさったと伺いました。音楽というのは人の感情を揺さぶります。こういった技術が音楽セラピーに役立つといいな、なんて思いました。

人工知能は人間の仕事を奪うのではなく、こういったところに役立てて世の中が幸せになるようなものがいっぱい出てくることを望んでいます。

やはり新しい技術の話は大好きです。




2017年8月10日木曜日

江川英龍って誰?って思ってごめんなさい


がん哲学外来在宅部会の2日目は伊豆観光をしました。代表の東 英子先生が山岡鉄舟、メンバーの江川守利さんは勝海舟をこよなく愛しており、その二人が江川邸に行きたいと、この会の設立当初から言い続けておりそれが実現しました。

重要文化財 江川邸
http://www.egawatei.com/

私はあまり歴史には詳しくなく、皆さんが行きたいといったところにご一緒させていただくだけでも楽しいので喜び勇んでついていきました。

一応事前学習のために本を紹介されました。その本がこの本です。

勝海舟が絶賛し、福沢諭吉も憧れた 幕末の知られざる巨人 江川英龍



この江川さん、韮山反射炉をつくり、体育で使っている号令をつくり、近代軍隊の様々な施策し、軍用携帯食として初めてパンを焼き、パン祖とも言われています。特に号令については、つくった経緯も体育学部の授業で習ったはずです。なのにほんとに知らなくてごめんなさいというのが本音です。



韮山反射炉と江川英龍です。大砲を作る時に中をくり抜いていたんですね。それも水車を使って。。すごいなあ。



江川邸です。ここで篤姫のロケが行われたそうです。



土間にあった柱です。

お庭も素敵です。とてもゆったりした気分になります。



事前学習で読んだ本の著者の方に特別にお話を聞かせていただきました。



お酒も作っているそうです。


薬のことも勉強していたんですね


パン祖の碑です




江川家の菩提寺の本立寺も行ってきました。このお寺も由緒正しいお寺のようで、日蓮をおよびしているみたいですね。江川家は源氏の血筋で戒名に源の字が入っていました。

本当に知らないことばかりでなさけない、、、

BEINGについて語りあい 〜がん哲在宅部会参加


8月5日、6日に伊豆でがん哲学外来在宅部会の合宿があり参加してきました。この会はがん哲学外来のカフェに参加したことがある人が条件ですが、それ以外は特に縛りはなく代表の東英子先生(あずま在宅クリニック)の人柄に惹かれて集まっています。今回は2年目に入るということで「合宿をしよう!」という話になり、重要文化財である韮山代官江川家に行きたいということで伊豆合宿が決まりました。遊んでいるのか、真面目なのかよく聞かれますが、基本的にはどちらもですね(笑)今回はファシリテーターをする上でのあり方や感じていることを共有しました。

がん哲カフェの場合は、どうしてもがん患者やその家族がその場に集まります。これがほかのカフェとは違う特徴があります。他のカフェでは「死」をあまり身近にかんじないところで話をしますが、がん哲カフェは常に「死」を意識した会話がそこで行われます。私もとても気を使います。

会議の中で私は中動態という概念と自由診療の話をしました。

我が国の医療では保険適応されているものは一定以上のエビデンスがありますが、自由診療で行われているものは必ずしもそうではありません。だからといって自由診療のすべてをNGというのも私はすべきことではないと思っています。なぜならば、それを選択するのは患者自身だからです。

十分に情報提供がなされており、さらに本人に金銭的な余裕もあって本人が希望するのであればそれを止める合理的理由はありません。最近の二元論で語られる「自由診療をするところはすべて悪」とは私は考えません。偽りの情報や誇大広告などはそもそも問題です。そこに対しては許されるものではありません。

確かに医療知識の差があるなかで、十分な情報提供がされない状態で自由診療がおこなわれることはすべきことではありません。患者自身が自由診療を受けるということにどのくらいの価値をもち、さらにお金を払うという行為をどのように感じているか、それが重要なことだと思います。医学的なエビデンスがすべてではありません。人間は医療のためにあるのではなく、人のために医療があるのです。

人というものは意志があって行動するとは限りません。また人のなかで起こっていることは外からはわかりませんし、本人すらわからないことというものは沢山あります。その世界観で考えてみることを私たちはしていくべきではないかと思っています。今回の中動態の話はそういったことを話するための呼び水としてお話をしました。

二元論は息苦しいというのが私の感覚です。