2016年5月9日月曜日

たまには医薬品産業の話も


久しぶりにぼーっとしたゴールデンウイーク。追われることも、昨年のような焦りもなく、淡々と過ごした1週間でした。写真は旅行で行った天保山です。

さて、最近は医療の話が多かったのですが、一応これでも医薬品産業の人でしたのでその話も書かないと「一体どれだけ無駄な時間を費やしていたのか?」と言われてしまうので、たまには書いてみたいと思います。

「高額薬剤議論で浮上する3つの視点 焦点はマーケット 適正使用がカギに」ミクスオンライン 

中を読んでいただくとわかるのですが、抗がん剤やC型肝炎の新薬の薬価がびっくりするほど高いのです。さすがにこんなに高い薬価の薬がでてくるとは思ってもみなかったです。
さらにオプシーボの薬剤費だけでも年間一兆7500億円と試算されています。
現在の医療費が約40兆円、そのうち薬剤費が約10兆弱です。

まず普通に思うのは、こんなに誰が払うのか?ということです。国民皆保険制度が続く以上は国民全体で負担をしなくてはならならず、いつの間にか負担を強いられる可能性があるのです。ではお金がある人だけが高額な薬剤を使えるようにすればいいのかというと、そういうわけにもいかないと思います。命をお金で選別するのかという話にもなります。

これも本当に悩ましい。

私の視点でこの高額医療費についてどう思うかというと、がんの領域に限ったことでいうと保険で認められる上限はあったほうがよいのではないだろうか。
これはけっしてこれは命の選別ではなく、従来の医療がけっして悪いものではないとおもっているからこその意見です。

時代とともに医学の進歩があり、いまや日本は諸外国に比べとてもいい医療を受けられている。がんの領域に関してもレベルが低いわけでもない。問題は患者自身がそれを納得するかどうかという点です。

これはみんなで理解を深める必要があることだと思っています。

もうひとつこのニュースをみて思うことがあります。それはこれらの医薬品がバイオ医薬品であるということです。日本企業がもっとバイオ医薬品に力を入れてほしいと思うことです。バイオ領域と広げると日本は世界にそれほど遅れをとっているとは思えません。しかしバイオ医薬品の開発になると非常に遅れをとっていると言わざるをえないです。
新薬のバイオ医薬品だけでなく、バイオシミラー(バイオ後続品)の開発を進めれば特許きれ以降は薬価を下げることができます。医薬品の開発は時間がかかることとバイオの技術は従来の低分子化学合成の医薬品より製造工程が複雑で品質管理が難しいです。そういったところに日本の企業の良さがでてほしいと思っています。そうすることで先程の医療費の上限の話も何年後かに特許が切れてバイオシミラーだったら保険が効くという選択もあると思うのです。

単純によい、悪いだけの議論にならず様々な視点から、医療保険のことを話せる機会があったらいいなと思っています。



<参考> 用法用量
オプシーボ20mg 150,200円  製品基本情報 小野薬品*1 .根治切除不能な悪性黒色腫 化学療法未治療の根治切除不能な悪性黒色腫患者の場合: 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1 回 3mg/kg(体重)を 2 週間間隔で点滴静注する。 化学療法既治療の根治切除不能な悪性黒色腫患者の場合: 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1 回 3mg/kg(体重)を 2 週間間隔又は 1 回 2mg/kg(体重)を 3 週間間隔で点滴静注する。
2 .切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1 回 3mg/kg(体重)を 2 週間間隔で点滴静注する。

 
ソバルディ 42,239.60円   医薬品情報 PMDA 
リバビリンとの併用において、通常、成人にはソホスブビル として400mgを 1 日 1 回、12週間経口投与する。

 ハーボニー 54,796.90円 医薬品情報 PMDA
通常、成人には 1 日 1 回 1 錠(レジパスビルとして90mg及び ソホスブビル
として400mg)を12週間経口投与する。 





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