みのりカフェのコーヒーとスイーツです。
第5回市民の医療参加を創る会をみのりカフェで実施しました。
今回の企画は、現在の診療報酬制度改革は病床を減らし、在宅医療を増やしていこうという流れがあります。その誘導のために、今年の4月の診療報酬改定で紹介状なしの大病院受診時の初診・再診において5000円以上かかるようになりました。その5,000円をどう市民はどう考えるのか?ということを考えたのがきっかけです。
5000円を払ってまで大病院に行くことは患者にとって合理的な行動ではないのだろうか?という問いをたててみんなで考えてみました。
患者は「胸が痛い」とか「頭が痛い」「熱がある」など何らかの症状があってはじめて医療機関にかかります。その時に「もしかして。。。、ひょっとして。。。」と不安になるとき、近くのクリニックに行こうか、大病院にいこうと思うか。その時に5000円を払って行くか行かないかはその人の価値観次第だと思います。
それ以前に若い時はそれほど頻繁に医療にお世話になることはなく、巷に溢れる情報は正しい情報とトンデモ情報が混在しており、市民はどれがどれだかわかっていません。
その一つの解決策として総合診療医というものがありますが、日本ではまだ数が少なくどこに行っても会えるものではありません。
もう一つの視点である医療保険制度で考えてみます。今の社会保障制度は国が借金をしながら支えています。高齢化や医療技術の発展によって医療費はどんどん増えています。このままでは国民皆保険制度が破綻しかねない状況です。そのために国は病院中心から開業医中心へとシフトしようとしているのです。
総合診療医というものがどんなものなのかを相模原市立青野原診療所の菅野先生、そしてこのような話になった背景を東京財団の三原さんにお話していただきました。
(東京財団 三原岳)
(相模原市立青野原診療所 菅野哲也)
参加者の方は医療者の人もいましたが、一般の市民で医療に関心のある人や医療以外の専門職がほとんどで議論をしました。
今回改めて、一般の市民は医療に対する不信ってやっぱり強いんだろうなと思いました。自分の身近に信頼しているお医者さんがいないのでしょう。
「信頼できるお医者さんを作ろう」というタイトルにしましたが、結論はその道のりは長いということです。しかし、だからといってそのままでいいわけではないし、誰かが何かをしてくれるものでもないです。
だったらどうすれば!
ここから先は私見です。「プライマリ・ケアって誰が担うものなんでしょう」
「プライマリケアは、ケアやゲートキーパー以上の役目であり、最初の第一線としてアクセスされ、継続的・統合的に調合されたケアを提供する保健制度の中心的な役割である。必要とされた際の第一線コンサルタントであり、短期の疾病に限らず個人の長期的な保健状態を診る」とWHOは定義しています。これはプライマリ・ヘルスケアの一部として位置付けられています。
もしかしたらプライマリ・ケア担当は医師でなくてもいいのかもしれないというのが私の意見です。しかし医師には医師にしかできないことがあります。それは診断と治療です。
では、総合診療医以外の専門医の資格しかない医師がプライマリ・ケアができないのでしょうか。それはそんなことはないです。ただ、トレーニングされた専門家であるためより信頼度が増すだけだと思っています。
よってその場の役割で時に医師が、時に看護師が、時に薬剤師が担当してもいいのではないでしょうか。そして多職種で連携していく仕組みを構築するこれが現場でのあり方なのかと思っています。下手したら町ぐるみかもしれません。
しかし、診療報酬制度の話でいうとこの仕組みを金銭面での誘導だけでは、どうにもならないと思っています。制度なのでちゃんとルールをつくらなければなりません。
フリーアクセスのいいところは個人の意思で医療機関を選択できることです。しかしそのデメリットはどこを選んでいいのかわからないことです。逆に初めに開業医にいく大病院ほど待たない。デメリットは病院に行くにはなんらかのハードルがあることです。日本なら紹介状を書いてもらう、若しくは金銭的に多く払わなくてはなりません。どちらも一長一短です。
では、自分のこととして考えてみましょう。私はそもそも医療は不確実性の高いものだと思っています。医療技術の発展によって人の寿命は著しく伸びました。しかし人はいつか死ぬので、医療が寿命をいつまでも伸ばしてくれるものではないです。変な医者に先にかかると手遅れになるといいますが、病院にいったら確実かというとそうでもないです。
そう考えると、自分は自分の体のオーナーとして自分が考える健康を自分で作りたいし、ちょっとした軽い相談は自分の仲のいい医者に軽く相談すると思います。
一般市民の場合、その軽く相談するという場所を早く見つけることが鍵なのではないでしょうか。その一つの手がかりが総合診療医であり、地域とのつながりを考えてコミュニティ活動をしている医師を探すことなのでしょう。
いずれにしても、自分がどんな形で医療を使っていくか(←この発想が大事です)をきめて方法を自分で模索しながら、皆保険制度を守りながらどのような方法がいいのか考えていく必要があります。