2016年6月27日月曜日

医療事故調査制度


日曜日に午前・午後とハシゴでお勉強は嫌いじゃないけど、なんだか慌ただしくて腰を据えてお勉強できません。

午前中は危機管理システム研究学会の年次大会に参加しました。私はメディカルリスクマネジメント分科会で活動しており、今年度の活動報告をメンバーがするのでその応援に行ってきました。報告内容を簡単にいうと日本医療機能評価機構における「医療事故調査収集等事業」で収集・公開されている医療事故報告を分析し、提言をまとめるということをしています。今回はその途中経過の発表です。

危機管理システム研究学会

目的が発表の応援なので気楽に他の発表を聞いていましたが、なかなか興味深かったです。明らかに自分の専門ではないのですがわかる部分もあるのでなるほどねと思って聞いていました。人工知能による金融システムのリスクだったり、現在の日銀の施策など最近の興味の部分とかぶるので一つ視点をいただきました。


午後は医療の良心を守る市民の会の10周年シンポジウムに参加しました。今回のテーマは「医療事故調査の現状と今後」です。

医療の良心を守る市民の会


医療事故調査制度の6月24日にこの医療事故調査報告制度に関係する医療法施行規則の一部を改正する省令がでており、変更内容や現状などを聞きたいなと思って参加してきました。

医療事故調査制度


この制度がスタートしたのは2015年10月からです。制度は医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産(管理者が予期しなかったもの)を院内でその事故調査をし、医療事故調査・支援センターに報告しなければならないというものを病院、診療、助産所の管理者に義務づけるものです。医療事故調査制度の目的は「医療事故再発防止」なのですが、医療者側と患者側の対立構造があると責任追及や訴訟の話になりがちです。そのためこの制度の話をすると医師法21条の改定の話題もでますが、今回はその部分の変更はありませんでした。


医師法第21条 
医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。

(興味のある方はググっていただけるといろいろと医療事故との関係の話題がでてきます)

今回の改正は方向的には制度の運用によって見えてきた問題に対応するかたちですが、いろいろと医師会等の動きがあります。また報告義務としている死亡もまだクリアとはいいきれないと思います。

「予期せぬ人の死」は医療者と患者家族では捉え方に差があります。途中経過にきちんとしたインフォームド・コンセントが行われていれば「予期せぬ」ということはありません。しかしそれがうまくいっていないから問題がおこるのです。この制度では死亡または死産を対象としていますが、医療事故の問題はそれ以外もたくさんあります。

リスクマネジメント的発想でいうとミスやエラーはかならず一定の確率で起こります。事故は誰か一人が原因になるということはありません。何人もの人のちょっとした行動の積み重ねが事故へとつながるのです。それは医療であっても同じだと思います。しかし医療と他のことと違うのは、人の健康や生命に関係することなのでミスは可能な限り少なくする、起こったことにたいして同じミスは繰り返さないということをしていかなくてはなりません。しかし今もなんでそんな単純なミス?と思うような医療事故が起こってしまうのでしょう。やはり病院組織に問題があるとしか考えられないです。

やはり医療事故は悲しい話です。懇親会の時もご自身の体験についてお話を聞かせていただきました。頑張って真摯に仕事をしている医療者がいる反面、嘘をついたり隠したりする人もいるのは事実です。

医療者と患者がともに向き合いお互いを理解していくプロセスを本当につくっていかないといけないのだと改めて思いました。


この医療事故調査制度に関しては総合確保推進法のその他の項目に載っていたりするので、しばらくは目が離せないところです。

総合確保推進法


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